占い師のあたらない占いシリーズ013 ~ 難しい通信のことばと表現②
ひろとものみなさまこんにちは。
今週は前回に引き続き、「難しい通信のことばと表現」と題して、占い師がお客さまにお伝えするにあたって、苦心している文章表現をご紹介いたします。
今回は、前回の最後に少し触れた「正しい日本語表現」についてお話ししたいと思います。
ひろとものみなさも、パソコンやスマホで、あるいはハガキやお手紙で、さまざまな文章を書かれる場面があるかと思いますが、なかなか苦心して文章を書かれているかたも多いのではないでしょうか。
とくに、日本語は奥が深く、文章を送るお相手によっては「間違った日本語」と受け取られる恐れもありますので、格式ばった文章であればあるほど、不安や緊張は尽きないものだと思います。
書き手や読み手によって解釈が異なる日本語の代表的なものに、ことばの前に付加する「ご」や「お」といった「接頭辞」というものがあります。いわゆる「御」に相当する文字を足して「そのことばの意味や行為などを高める」ためにつかうものです。「ご利用」「ご確認」といったものですね。
ところがこの「接頭辞」ですが、本来は「意味や行為を高める」ためのものですので、自らの行為には使用しないのが通例なのです。
たとえば、「ご依頼いたします」「ご請求いたします」などは、自分の行為を高めてしまっていますので、おかしいといえます。
しかしこの「接頭辞」ですが、実は「そのことばの意味や行為を美化する」ためにもつかわれるため、こうした立場をとられるかたからすれば、今日においては「ご依頼いたします」も「ご請求いたします」も間違いとまでは言いづらく、逆に接頭辞がついていないと、やや失礼な印象を感じられるかたもいらっしゃるのではないでしょうか。
もうひとつ、おなじように解釈が異なる表現として、「させていただく」や「なれる」「される」といった、ことばの後ろに付加してていねいな表現にするものがあります。
先ほどの例でいえば、「ご依頼させていただきます」「ご請求させていただきます」というと、いかにもていねいな表現にみえるのですが、日本語としては『二重敬語』という誤った表現といえます。
ですので本来なら「依頼します」「請求します」と言い切っても、とくに失礼ではない(むしろ余計なことばがなく誤解がない)のですが、こちらも何となくストレートで失礼な言いかたに聞こえてしまいませんか?
また、「される」という表現には「受身」や「尊敬」の用法がありますが、最近では「尊敬」の用法でつかわれることが少なく、かつて「紹介されるお客さま」と表現したときに、「紹介を受けられるお客さま」と勘違いされてしまったこともありました。
さらに悩ましいのが「なれる」という尊敬表現で、日本語に興味がおありのかたならご存じかと思いますが、これらは「成る」「慣れる」などの語源から発生した表現ですので、こうした語源に変換できない場合には使用できない表現なのです。
しかし、最近ではいずれの場合にも使用できる尊敬表現として、ビジネス会話集にもしっかりと紹介されていますので、なかなか難しいところです。
実は、このような日本語表現は、定期的(といっても数年、十数年に一度、ですが)に「一般的な社会生活における国語表記の目安・よりどころ」として見直され、内閣告示や内閣訓示として文化庁が公開しています(対象となる表現や内容によって、所管する官庁が異なる場合があります)。
たとえば、「及び」「又は」などの「接続詞または接続詞的につかうことば」や、「全て」「共に」などの「副詞または副詞的につかうことば」は、ひらがな表記が推奨されています(占い師の場合、こちらにならって表記しています)。
また、「お申込み」「お問合せ」などといった「送り仮名」についても、「送り仮名の付け方」として紹介されていますが、こちらはおなじ案内や書面で仮名送りのルールが異なると読みづらいため、なるべく(読みづらくならない範囲で)統一した仮名送りにするようにしています。
さらには、熟語についても「常用漢字表」にない漢字は、その文字をひらがな書きすることが望ましいとされていますが、かえってひらがなでは読みづらいと判断した場合は(そもそもなるべく難しいことばを使用しない工夫をしたうえで)、必要の場合に限って常用外漢字も使用しています。
このように、日本語は日々進化しており、専門家のなかには「どれも正解ではなく、どれも正解である」といわれた先生もいらっしゃるほど。まさに人それぞれ、表現も十人十色です。
とはいえ、占い師個人としては、こうしたさまざまな表現があることこそが日本語の美しさであり、本質的にはそのかたがつかいたい表現をするのがもっともいい、と考えていますが、いかんせん、お客さまにお伝えするにあたっては、何より誤解をいただかないことが大切ですので、注意して表現するように努めています。
もうひとつ、私がこうした日本語表現にこだわっている理由としては、「どなたに参考にいただいても恥ずかしくないものを」と、肝に銘じていることもあります。
みなさまも、何かちょっとしっかりとした文章表現をする必要があったとき、企業や官公庁の文章表現を参考にされていることがあるのではないでしょうか。
かつて私自身がそうであったように、とくにお子さまのなかにも、こうした企業や官公庁の文章表現を参考にしながら、日本語を学習していかれるかたが多くいらっしゃいます。
そのため、拙いながらも少しでも参考にしていただけるような文章表現をしよう、できるだけ間違いのない文章表現をしよう、と考えています。
今回は、ちょっと通信とは関係のないお話になりましたが、いかがでしたでしょうか。
もちろん、ここで紹介した日本語表現は、占い師個人の見解・解釈ですので、あくまでご参考程度とお考えください。
また、興味をお持ちのかたは、ぜひさまざまな文献や文化庁に掲載されている内閣告示・内閣訓示などをご参照いただくと、これまでの疑問や悩みがすっきり解決するかもしれません。